第6章 賃金の概要

賃金については就業規則でも絶対必要記載事項ですから、かならず記載しなければならない項目があります。

賃金に関する絶対必要記載事項

  1. 賃金の決定
  2. 計算及び支払いの方法
  3. 賃金の締切り及び支払いの時期
  4. 昇給に関する事項

就業規則に定める際には総則と各論に分ける方法が一般的です。またこの厚生労働省のモデル就業規則では賃金の項目を就業規則に直接定めていますが、実際には賃金規定として分ける方法が一般的です。しかし賃金規定として分ける場合についても就業規則と同様に労働基準監督署に届け出を行う必要があります。

第28条 裁判員等のための休暇

(裁判員等のための休暇) 
第28条 労働者が裁判員若しくは補充裁判員となった場合又は裁判員候補者となった場合には、次のとおり休暇を与える。
① 裁判員又は補充裁判員となった場合        必要な日数
② 裁判員候補者となった場合            必要な時間

作成のポイント

 
平成21年から裁判員制度が開始され、それにより従業員が裁判員や裁判員候補者になる可能性が生じることになりました。裁判員等になった場合、従業員からその職務により必要な時間を請求された場合には、使用者は拒むことはできません。
事業所では裁判員等になり休暇を請求された場合の制度についてあらかじめ定めておくことが求められます。

注意点

使用者は従業員がこの休暇を請求したことを理由に解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません。

関係条文

裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成16年法律第63号)第100条

第27条 病気休暇

第27条 労働者が私的な負傷又は疾病のため療養する必要があり、その勤務しないことがやむを得ないと認められる場合に、病気休暇を  日与える。

作成のポイント

病気休暇については労基法上必ず定めなければならないものではありません。事業所の任意で定めるものです。ですから就業規則に載せて病気休暇のルールを作ることも可能ですし、逆に休暇を与えなくても構いません。

第26条 慶弔休暇

(慶弔休暇) 
第26条 労働者が申請した場合は、次のとおり慶弔休暇を与える。
① 本人が結婚したとき                         日 
② 妻が出産したとき                          日
③ 配偶者、子又は父母が死亡したとき                  日
④ 兄弟姉妹、祖父母、配偶者の父母又は兄弟姉妹が死亡したとき      日

作成のポイント

慶弔休暇については労働基準法では必ず定めなければならないものではありません。
事業所の任意で定めるものです。ですから就業規則に載せて慶弔休暇のルールを作ることも可能ですし、逆に休暇を与えなくても構いません。

注意点

休暇を何日与えても構いませんが日数の目安を挙げます。
本人が結婚したとき・・・4~7日
妻が出産したとき・・・2~3日
配偶者、子又は父母が死亡したとき・・・2~5日
兄弟姉妹、祖父母、配偶者の父母又は兄弟姉妹が死亡したとき・・・1~3日

事業所によっては喪主の場合に日数を追加したり、遠方の親族の場合には日数を追加する場合があります。亡くなられた方が同居かどうかにより休暇を与えるか否かを判断する事業所もあります。
状況に応じて規程の作成を検討をして下さい。

第25条 育児・介護休業、子の看護休暇等

第25条 労働者のうち必要のある者は、育児・介護休業法に基づく育児休業、介護休業、子の看護休暇、介護休暇、育児のための所定外労働の免除、育児・介護のための時間外労働及び深夜業の制限並びに所定労働時間の短縮措置等(以下「育児・介護休業等」という。)の適用を受けることができる。
2 育児休業、介護休業等の取扱いについては、「育児・介護休業等に関する規則」で定める。

作成のポイント

育児・介護休業については規定が細かいため別規定にすることが多いです。厚生労働省のモデル就業規則でも直接就業規則に載せる方法ではなく別規定で載せています。育児・介護休業等に関する規則の規定例-厚生労働省
就業規則の本体と別の規定を設けたとしても、就業規則の一部ですから所轄労働基準監督署への届出は必要になります。

第24条 育児時間及び生理休暇

第24条 1歳に満たない子を養育する女性労働者から請求があったときは、休憩時間のほか1日について2回、1回について30分の育児時間を与える。
2 生理日の就業が著しく困難な女性労働者から請求があったときは、必要な期間休暇を与える。

作成のポイント

育児時間について

  1. 育児時間については、生後満1年に達しない子を育てている女性労働者から請求があった場合は、授乳その他育児のための時間を、一般の休憩時間とは別に与えなければなりません。
  2. 育児時間を請求し、又は取得したことを理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはいけません。
  3. 育児時間については就業時間のうちどの時間であっても請求することができます。よって始業直後や就業直前の時間であっても労働者から請求があれば、育児時間を与えなければなりません。
  4. 1日2回の育児時間については8時間の就業時間がある場合を想定しています。もし1日の就業時間が4時間を下回る場合については1回の育児時間で足りるとされています。
  5. 育児時間については有給であっても無休であっても構いません。労働基準法では育児時間について有給にすることまで要求していませんので、従業員との話し合いで決定することになります。

生理休暇について

  1. 生理日について就業が著しく困難な場合に、請求があれば必要な期間の休暇を与えなければなりません。
  2. 生理日の休暇については有給であっても無休であっても構いません。労働基準法では育児時間について有給にすることまで要求していませんので、従業員との話し合いで決定することになります。

注意点

  1. 育児時間についても生理休暇についても、労働基準法で定められている休業であるため、就業規則に載せても載せなくても請求があれば与えなければならない休業です。しかし制度の使用についてはっきりさせるためにも就業規則に載せておく方がよい項目でもあります。
  2. 育児時間についても生理休暇についても、有給・無休は問いませんので、就業規則で有給か無休か記載しておく方が良いでしょう。

関連条文

労働基準法第67条
労働基準法第68条
男女雇用機会均等法第9条第3項

第23条 母性健康管理の措置

(母性健康管理の措置) 
第23条 妊娠中又は出産後1年を経過しない女性労働者から、所定労働時間内に、母
子保健法(昭和40年法律第141号)に基づく保健指導又は健康診査を受けるために申出があったときは、次の範囲で時間内通院を認める。
 ① 産前の場合
    妊娠23週まで・・・・・・・・4週に1回
    妊娠24週から35週まで ・・・2週に1回
    妊娠36週から出産まで ・・・・1週に1回
ただし、医師又は助産師(以下「医師等」という。)がこれと異なる指示をしたときには、その指示により必要な時間
 ② 産後(1年以内)の場合
   医師等の指示により必要な時間
2 妊娠中又は出産後1年を経過しない女性労働者から、保健指導又は健康診査に基づき勤務時間等について医師等の指導を受けた旨申出があった場合、次の措置を講ずる。
① 妊娠中の通勤緩和措置として、通勤時の混雑を避けるよう指導された場合は、
原則として1 時間の勤務時間の短縮又は1 時間以内の時差出勤を認める。
② 妊娠中の休憩時間について指導された場合は、適宜休憩時間の延長や休憩の回
 数を増やす。
③ 妊娠中又は出産後の女性労働者が、その症状等に関して指導された場合は、医
師等の指導事項を遵守するための作業の軽減や勤務時間の短縮、休業等の措置をとる。

【第23条 母性健康管理の措置】
1 事業主は、雇用する女性労働者が母子保健法(昭和40年法律第141号)の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるようにしなければなりません(均等法第12条)。また、事業主は、雇用する女性労働者が保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じなければなりません(均等法第13条)。
2 母性健康管理措置を求め、又は措置を受けたことを理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはいけません(均等法第9条第3項)。

第22条 産前産後の休業

(産前産後の休業) 
第22条 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定の女性労働者から請求があったときは、休業させる。
2 産後8週間を経過していない女性労働者は、就業させない。
3 前項の規定にかかわらず、産後6週間を経過した女性労働者から請求があった場合は、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることがある。

【第22条 産前産後の休業】
1 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定の女性労働者が休業を請求した場合には、その者を就業させてはいけません(労基法第65条第1項)。
2 産後8週間を経過しない女性労働者を就業させてはいけません。ただし、産後6週間を経過した女性労働者から請求があったときは、医師が支障がないと認めた業務には就かせることができます(労基法第65条第2項)。
3 産前産後の休業を請求し、又は取得したことを理由として解雇その他不利益な取扱いをしてはいけません(均等法第9条第3項)。

第21条 年次有給休暇の時間単位での付与

(年次有給休暇の時間単位での付与) 
第21条 労働者代表との書面による協定に基づき、前条の年次有給休暇の日数のうち、1年について5日の範囲で次により時間単位の年次有給休暇(以下「時間単位年休」という。)を付与する。
(1)時間単位年休付与の対象者は、すべての労働者とする。
(2)時間単位年休を取得する場合の、1日の年次有給休暇に相当する時間数は、以下
のとおりとする。
① 所定労働時間が5 時間を超え6 時間以下の者…6 時間
② 所定労働時間が6 時間を超え7 時間以下の者…7 時間
③ 所定労働時間が7 時間を超え8 時間以下の者…8 時間
(3)時間単位年休は1時間単位で付与する。
(4)本条の時間単位年休に支払われる賃金額は、所定労働時間労働した場合に支払わ
れる通常の賃金の1時間当たりの額に、取得した時間単位年休の時間数を乗じた額
とする。
(5)上記以外の事項については、前条の年次有給休暇と同様とする。

作成のポイント

もともと年次有給休暇は1日単位で有給休暇を付与することを理想と考えていたため、年次有給休暇が時間単位で与えられたことは労働者側にとっても都合の良い制度であると言えます。
この制度は労使協定を締結することにより、年に5日を限度として時間単位での年次有給休暇を付与することができます。その点について就業規則に載せ、1日の所定労働時間をはっきりさせる必要があります。

注意点

時間単位の年次有給休暇の制度について説明します。
年次有給休暇は本来は日単位で使用するべきものではありましたが、政府の年次有給休暇の使用を促進する動きの中で時間単位の使用も認められるようになりました。
次の要件を満たしたうえで使用を行うことができます。

要件
労使協定を締結すること。
年次有給休暇のうち年5日以内の使用の範囲内であること。

時間単位の年次有給休暇を使用した場合に支払う賃金額
1、平均賃金
2、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
3、標準報酬日額をその日の所定労働時間数で割った額(労使協定が必要)

注意
時間単位の年次有給休暇も年次有給休暇の一つであるため、時季変更権は使用者に認められていますが、日単位の年次有給休暇を時間単位に変えさせることや時間単位の年次有給休暇を日単位に変えることはできません。

第5章 休暇等の概要

この項目については主に年次有給休暇と年次有給休暇以外の法定の休暇・休業と特別休暇について記載します。休暇については就業規則の絶対的必要記載事項に該当するため、必ず載せなければなりません。休暇は労働者の権利のうち最も重要なもののひとつであるため、就業規則に載せて周知する必要があります。

年次有給休暇について

年次有給休暇は労働基準法第39条を根拠に、労働者の労働日について有給で労働義務を免除する制度です。労働基準法で規制されている以上、労働基準法を下回る日数しか年次有給休暇を与えないような内容の就業規則を作成して周知したとしても、その就業規則は無効となり、労働基準法の基準が適用されます。

年次有給休暇以外の法定の休暇・休業と特別休暇について

年次有給休暇以外でも法定の休暇や休業はあります。就業規則に載せておいた方が良いものとしては以下の休日があります。

産前産後の休業
母性健康管理の措置
育児休業・生理休暇
育児介護休業・子の看護休暇
慶弔休暇
病気休暇
裁判員等のための休暇

以上が年次有給休暇以外の法定の休暇・休業及び特別休暇になります。