就業規則の作成変更に伴う労働条件の不利益変更

 就業規則を新たに作成する場合や就業規則を変更する場合に、労働条件を引き下げることはできるのでしょうか?

 条件を向上させる場合は、むしろ従業員に喜ばれることですので、問題はないと思われますが、条件を引き下げる場合は、やはり、問題が生じる場合があります。

 そこで、このことが問題になり、裁判になったケースをご紹介し、最高裁判所が下した判決を見てみましょう。


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  「第四銀行事件」(最高裁平成9年2月28日第2小法廷判決)

 新たな就業規則の作成又は変更によって労働者の既得の権利を奪い、労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは、原則として許されないが、労働条件の集合的処理、特にその統一的かつ画一的な決定を建前とする就業規則の性質からいって、当該規則条項が”合理的”である限り、”個々の労働者において、これに同意しないことを理由として、その適用を拒むことは許されない”(参照:秋北バス事件/最高裁・昭和43・12・12)

 そして、右にいう当該規則条項が”合理的”なものであるとは、当該就業規則の作成又は変更が、その必要性及び内容の両面からみて、それによって労働者が被ることになる不利益の程度を考慮しても、なお当該労使関係における当該条項の法的規範性を是認することができるだけの合理性を有するものであることをいい、特に、賃金、退職金など労働者にとって重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の作成又は変更については、当該条項が、そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容することができるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである場合において、その効力を生ずるものというべきである(参照:大曲農協事件/最高裁・昭和63・2・16)

右の”合理性の有無”は、具体的には、
・就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度
・使用者側の変更の必要性の内容・程度
・変更後の就業規則の内容自体の相当性
・代償措置、その他関連する他の労働条件の改善状況
・労働組合等との交渉の経緯
・他の組合又は他の従業員の対応
・同種事項に関する我が国社会における一般的状況
等を総合考慮して判断すべきである


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 以上を勘案すると、就業規則の作成・変更に伴い、労働条件の不利益変更を行う場合、”個々の従業員から同意書の提出を求める”ことになります。

 団体交渉等の正当な手段によって、従業員と話し合いを持ち、理解を求め、納得の得られる説明を尽くさなければなりません。その際に、一つの条件を引き下げる代わりに、他の条件を向上させるなどの代償措置を採らないと、実際は、同意を求めるのは困難な状況になると思われます。これを怠ると、上記のような裁判に発展する可能性もありますので、注意が必要です。

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