第49条 解雇

第49条 労働者が次のいずれかに該当するときは、解雇することがある。
① 勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、労働者としての職責を果たし
得ないとき。
② 勤務成績又は業務能率が著しく不良で、向上の見込みがなく、他の職務にも転
換できない等就業に適さないとき。
③ 業務上の負傷又は疾病による療養の開始後3年を経過しても当該負傷又は疾病
が治らない場合であって、労働者が傷病補償年金を受けているとき又は受けることとなったとき(会社が打ち切り補償を支払ったときを含む。)。
④ 精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき。
⑤ 試用期間における作業能率又は勤務態度が著しく不良で、労働者として不適格
であると認められたとき。
⑥ 第61条第2項に定める懲戒解雇事由に該当する事実が認められたとき。
⑦ 事業の運営上又は天災事変その他これに準ずるやむを得ない事由により、事業
の縮小又は部門の閉鎖等を行う必要が生じ、かつ他の職務への転換が困難なとき。
⑧ その他前各号に準ずるやむを得ない事由があったとき。
2 前項の規定により労働者を解雇する場合は、少なくとも30日前に予告をする。予告しないときは、平均賃金の30日分以上の手当を解雇予告手当として支払う。ただし、予告の日数については、解雇予告手当を支払った日数だけ短縮することができる。
3 前項の規定は、労働基準監督署長の認定を受けて労働者を第60条に定める懲戒解雇する場合又は次の各号のいずれかに該当する労働者を解雇する場合は適用しない。
①  日々雇い入れられる労働者(ただし、1か月を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)
②  2か月以内の期間を定めて使用する労働者(ただし、その期間を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)
③  試用期間中の労働者(ただし、14日を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)
4 第1項の規定による労働者の解雇に際して労働者から請求のあった場合は、解雇の理由を記載した証明書を交付する。

作成のポイント

  1. 解雇については就業規則を作成する場合に必ず記載しなければならない絶対的必要記載事項に該当します。これは労働者がどういうことをした場合に解雇されてしまうか明確にすることにより解雇の予見可能性を高めることができるからです。労働者は解雇される場合について予測できるようになれば、解雇事由に該当することを避けるでしょうし、解雇を行う事業所にとっても平等な扱いをすることができるようになります。
  2. 解雇については労働基準法ではなく労働契約法で解雇事由についての制限が設けられています。

    労働契約法第16条
    解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効とする。

    就業規則に記載がない場合であっても解雇をすることはできますが、過去の裁判例では就業規則に列挙していない事由により解雇を行った場合には解雇権の濫用と判断されるケースが多いため、就業規則を作成する場合には解雇に関する規定を載せ、解雇事由を列挙しましょう。

  3. 解雇を行う場合には少なくとも30日間に解雇予告を行う必要があります。しかし解雇予告手当を支払うことで即日解雇を行ったり予告期間を短縮することも可能です。
  4. 有期契約労働者を解雇する場合には、有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている労働者を解雇する場合には解雇予告が必要になります。しかしあらかじめ契約を更新しない旨が明示されている場合には解雇予告は必要ありません。

注意点

労働者から解雇の理由について求められた場合には解雇の理由を記載した証明書を交付しなければなりません。労働基準法では退職した労働者が求めた場合には使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由)について記載した証明書を交付しなければなりませんが、逆に求めていない内容については記載してはいけません。たとえば働いていた期間について証明を求められたにも関わらず、退職の理由について一緒に記載することは労働基準法に触れることになりますので注意してください。

関連条文

労働契約法第16条
労働基準法第19条
労働基準法第20条
有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準第1条

第48条 退職

(退職)
第48条 前条に定めるもののほか、労働者が次のいずれかに該当するときは、退職とする。 
① 退職を願い出て会社が承認したとき、又は退職願を提出して14日を経過した
とき
② 期間を定めて雇用されている場合、その期間を満了したとき
③ 第9条に定める休職期間が満了し、なお休職事由が消滅しないとき
④ 死亡したとき
2 労働者が退職し、又は解雇された場合、その請求に基づき、使用期間、業務の種類、地位、賃金又は退職の事由を記載した証明書を遅滞なく交付する。

作成のポイント

労働基準法には解雇を行う場合の通知の時期については規程がありますが、それ以外の労働契約の解除については規程がありません。
そのため労働契約の解除については民法の規定を使用することになります。
期間によって定めた報酬以外の報酬で働く労働者の場合(日給、時間給)
・・・解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了します。
期間によって定めた報酬で働く労働者の場合(月給)
・・・1か月の前半に退職の申し出を行った場合には、その期の末をもって終了します。1か月の後半に退職の申し出を行った場合には、翌期の末をもって終了します。

注意点

期間の定めのある契約の場合にはその期間が終了した場合に退職することになりますが、その契約が反復更新され実質的に期間の定めのない契約と変わらない場合や雇用の継続を期待することが合理的な場合には雇い止めが認められない事があります。その場合には30日前に予告が必要になります。

第47条 賞与

第46条 賞与は、原則として、下記の算定対象期間に在籍した労働者に対し、会社の業績等を勘案して下記の支給日に支給する。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由により、支給時期を延期し、又は支給しないことがある。

算定対象期間 支給日
  月  日から  月  日まで   月  日
  月  日から  月  日まで   月  日

2 前項の賞与の額は、会社の業績及び労働者の勤務成績などを考慮して各人ごとに決定する。

作成のポイント

賞与は就業規則の中で絶対的記載事項ではありません。しかし、賞与の支給がある場合には就業規則に定めなければなりません。
就業規則には支給対象時期、賞与の算定基準、査定期間、支払い方法等を明記しておくことが大切です。

注意点

6月1日に在籍した者や12月1日に在籍した者と一定の日を定めたり、賞与支給日に在籍した者と支給対象者の規定を設けることで、期間の途中で退職した者や賞与支給日に在籍しない者には支給しないこととすることができます。
支給しないことがあることや支払時期を延期することがあることを明記することで支払いができなかった事態に備えることができます。

第45条 昇給

第45条 昇給は、勤務成績その他が良好な労働者について、毎年  月  日をもって行うものとする。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合は、行わないことがある。
2 顕著な業績が認められた労働者については、前項の規定にかかわらず昇給を行うことがある。
3 昇給額は、労働者の勤務成績等を考慮して各人ごとに決定する。

作成のポイント

昇給については就業規則の絶対記載事項に該当しますので、就業規則を定めるにあたって必ず含めなければならない項目です。
ただし昇給は会社の業績や労働者の勤務成績により行わない可能性もありますので、行わない可能性についても含める必要があります。

注意点

上記のモデル就業規則の例では「会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合」には行わない場合があることを明記しています。これを明記せず「毎年〇月に行う」としてしまうと、昇給は必ず行わなければならず、労働者から請求があれば支払う義務が生じることになります。このモデル就業規則のように昇給を行わない可能性があることや、勤務成績により昇給を行わない可能性があることを明示することが大切です。

第44条 賃金の非常時払い

第44条 
労働者又はその収入によって生計を維持する者が、次のいずれかの場合に該当し、そのために労働者から請求があったときは、賃金支払日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払う。
① やむを得ない事由によって1週間以上帰郷する場合
② 結婚又は死亡の場合
③ 出産、疾病又は災害の場合
④ 退職又は解雇により離職した場合

作成のポイント

この条文は出産、疾病、災害などの臨時の出費が必要な場合には、賃金の支払日前であっても既に労働した分について労働者は賃金の支払いを請求することができることとしたものです。これは労働基準法第25条で定められた労働者の権利です。

注意点

労働者からの支払いに応じる必要があるのはあくまでも既往の労働分についての賃金支払いです。まだ労働していない期間については支払う必要はありません。

関連条文

第43条 賃金の支払と控除

第43条
賃金は、労働者に対し、通貨で直接その全額を支払う。
2 前項について、労働者が同意した場合は、労働者本人の指定する金融機関の預貯金口座又は証券総合口座へ振込により賃金を支払う。
3 次に掲げるものは、賃金から控除する。
① 源泉所得税
② 住民税
③ 健康保険、厚生年金保険及び雇用保険の保険料の被保険者負担分
④ 労働者代表との書面による協定により賃金から控除することとした社宅入居
料、財形貯蓄の積立金及び組合費

作成のポイント

賃金には全額払の原則があるため、基本的には賃金から一部を差し引いて支払うことはできません。しかし所得税や住民税、社会保険料については法令により控除することが認められています。
賃金支払い5原則

  1. 通貨払いの原則
  2. 全額払いの原則
  3. 毎月1回以上支払いの原則
  4. 直接払いの原則
  5. 一定期日払いの原則

注意点

賃金には直接払いの原則があるため、本来は手渡しで労働者に直接支払わなければなりません。
しかし労働者自らが同意した場合に限り、労働者が指定した本人名義の口座に振り込むことによる支払いも認められています。
逆にいうと本人が同意していない限り、口座振込による支払いはできません。

関連条文

労働基準法第24条

第42条 賃金の計算期間及び支払日

第42条 賃金は、毎月  日に締め切って計算し、翌月  日に支払う。ただし、支払日が休日に当たる場合は、その前日に繰り上げて支払う。
2 前項の計算期間の中途で採用された労働者又は退職した労働者については、月額の賃金は当該計算期間の所定労働日数を基準に日割計算して支払う。

作成のポイント

賃金は毎月一回以上、一定の支払日を定めて支払わなければなりません。これは「一定期日払いの原則」といい、賃金支払い5原則と言われるものの一つです。賃金の支払日が一定でなければ労働者の生活が守られないため、労働基準法の中で定められているルールです。

注意点

賃金支払い5原則

  1. 通貨払いの原則
  2. 全額払いの原則
  3. 毎月1回以上支払いの原則
  4. 直接払いの原則
  5. 一定期日払いの原則

関連条文

労働基準法第24条

第41条 欠勤等の扱い

(欠勤等の扱い)
第41条 欠勤、遅刻、早退及び私用外出については、基本給から当該日数又は時間分の賃金を控除する。
2 前項の場合、控除すべき賃金の1時間あたりの金額の計算は以下のとおりとする。
(1)月給の場合
   基本給÷1か月平均所定労働時間数
   (1か月平均所定労働時間数は第36条第3項の算式により計算する。)
(2)日給の場合
   基本給÷1日の所定労働時間数

作成のポイント

ノーワークノーペイの考え方により、有給休暇に当たらない欠勤や遅刻、早退等についてはその時間について賃金を支払う必要はありません。労務に就かなかった時間について給料から差し引いて支払うことができます。

注意点

勤務に就かなかった時間の賃金を控除することは可能ですが、5分の遅刻に対して1時間分の賃金を控除したり、2時間の早退に対して半日分の賃金を控除することは過剰な控除になるため認められません。

第40条 臨時休業の賃金

(臨時休業の賃金)
第40条 会社側の都合により、所定労働日に労働者を休業させた場合は、休業1日につき労基法第12条に規定する平均賃金の6割を支給する。ただし、1日のうちの一部を休業させた場合にあっては、その日の賃金については労基法第26条に定めるところにより、平均賃金の6割に相当する賃金を保障する。

作成のポイント

労働基準法では会社側の都合により、事業所を休業する場合には、休業1日につき平均賃金の6割分を支給しなければならないことになっております。これは労働者は実際に働いてはおりませんが、働くことで賃金を得て生活する労働者の生活を守るためにある労働基準法で定められています。

1 会社側の都合(使用者の責に帰すべき事由)により、所定労働日に労働者を休業させる場合には、平均賃金の60%以上の休業手当を支払わなければなりません(労基法第26条)。
また、

注意点

1日の所定労働時間の一部のみ会社側の責めに帰すべき事由により休業させた場合についても、現実に就労した時間に対して支払われる賃金がその日1日分の平均賃金の60%に満たないときは、事業者はその差額を支払わなければなりません。

関連条文

労働基準法第26条
労働基準法第12条

第39条 休暇等の賃金

(休暇等の賃金)
第39条 年次有給休暇の期間は、所定労働時間労働したときに支払われる通常の賃金を支払う。
2 産前産後の休業期間、育児時間、生理休暇、母性健康管理のための休暇、育児・介護休業法に基づく育児休業期間、介護休業期間及び子の看護休暇期間、裁判員等のための休暇の期間は、無給 / 通常の賃金を支払うこととする。
3 第9条に定める休職期間中は、原則として賃金を支給しない(  か月までは  割を支給する)。

作成のポイント

年次有給休暇の賃金

年次有給休暇を労働者が取得した場合には次のいずれかの方法により賃金を支払わなければなりません。

  1. 平均賃金
  2. 所定労働時間働いたときに支払われる通常の賃金
  3. 健康保険法第99条第1項に定める標準報酬日額に相当する金額

このうち3の方法を取る場合には、さらに労使協定が必要です。標準報酬日額と実際の賃金とは開きがあるため、この方法についてはより厳密に取り扱うことになっています。

特別休暇、慶弔休暇等の賃金

特別休暇や慶弔休暇については有給で休みを与える必要がありません。ですから事業所で自由に有給・無給を選ぶことができます。

注意点

特別休暇や慶弔休暇は有給である必要がありませんので、事業所で自由に有給にするか無給にするか選ぶことができます。しかし一度有給にすると決め、就業規則に載せると同じ事象については必ず有給にする必要が生じます。
ですから特別休暇を有給にする場合には慎重に行いましょう。