第56条 安全衛生教育

第56条 
労働者に対し、雇入れの際及び配置換え等により作業内容を変更した場合、その従事する業務に必要な安全及び衛生に関する教育を行う。
2 労働者は、安全衛生教育を受けた事項を遵守しなければならない。

作成のポイント

会社は従業員を雇い入れた場合や配置転換を行った場合には安全衛生に関する教育を行わなければなりません。これは労働安全衛生法によって決められています。

注意点

安全衛生教育の実施に要する時間は労働時間と解されますので、当該教育が法定労働時間外に行われた場合には、当然、割増賃金の支払が必要になります。また安全委衛生教育に必要な費用が生じた場合には、その費用は会社が負担しなければならないものになります。

関連条文

労働安全衛生法第59条

第55条 健康管理上の個人情報の取扱い

第55条 
会社への提出書類及び身上その他の個人情報(家族状況も含む)並びに健康診断書その他の健康情報は、次の目的のために利用する。
① 会社の労務管理、賃金管理、健康管理
② 出向、転籍等のための人事管理
2 労働者の定期健康診断の結果、労働者から提出された診断書、産業医等からの意見書、過重労働対策による面接指導結果その他労働者の健康管理に関する情報は、労働者の健康管理のために利用するとともに、必要な場合には産業医等に診断、意見聴取のために提供するものとする。

作成のポイント

個人情報保護の観点から、健康診断の結果については慎重に取り扱う必要があります。個人情報の適正な取り扱いを行うことを従業員に対して就業規則により宣言するために記載します。

注意点

健康診断の結果については5年間保存が義務付けられています。個人情報が多く含まれているものですから、従業員がすぐにみられない場所に保管をしましょう。

関連条文

労働安全衛生法施行規則第51条

第54条 健康診断

第54条
労働者に対しては、採用の際及び毎年1回(深夜労働に従事する者は6か月ごとに1回)、定期に健康診断を行う。
2 前項の健康診断のほか、法令で定められた有害業務に従事する労働者に対しては、特別の項目についての健康診断を行う。
3 長時間の労働により疲労の蓄積が認められる労働者に対し、その者の申出により医師による面接指導を行う。
4 第1項及び第2項の健康診断並びに前項の面接指導の結果必要と認めるときは、一定期間の就業禁止、労働時間の短縮、配置転換その他健康保持上必要な措置を命ずることがある。

作成のポイント

  1. 従業員の健康診断については労働安全衛生法で実施が義務付けられています。一般健康診断については1年に1回、深夜労働に従事する従業員については6か月に1回健康診断を行わなければなりません。この安全衛生について規定を作成した場合には就業規則に載せなければなりません(相対的記載事項)。
  2. 事業の内容により必要な健康診断が違うため、就業規則に記載する内容についても事業実態に合わせて変える必要があります。
  3. 会社は健康診断や面接指導の結果、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講じなければなりません

注意点

  1. 健康診断については実施が事業主の義務ですので、費用は事業所で負担しなければなりません。
  2. しかし、一般健康診断については健康診断に要した時間を有給とすることまで法律上求められていないため、有給でも無休でもどちらでも構いません。
  3. 安全衛生に関しては安全委員会や衛生委員会の付議事項ですので、就業規則に記載する場合には安全委員会か衛生委員会の審議を受けなければなりません。
  4. 従業員が採用前3か月以内に健康診断を実施し、その結果を証明する書類を提出した場合には、受診した項目については採用時の健康診断を省略することができます。

関連条文

労働基準法第89条
労働安全衛生法第66条

第53条 遵守事項

第53条 会社は、労働者の安全衛生の確保及び改善を図り、快適な職場の形成のために必要な措置を講ずる。
2 労働者は、安全衛生に関する法令及び会社の指示を守り、会社と協力して労働災害の防止に努めなければならない。
3 労働者は安全衛生の確保のため、特に下記の事項を遵守しなければならない。
① 機械設備、工具等の就業前点検を徹底すること。また、異常を認めたときは、
速やかに会社に報告し、指示に従うこと。
② 安全装置を取り外したり、その効力を失わせるようなことはしないこと。
③ 保護具の着用が必要な作業については、必ず着用すること。
④ 喫煙は、所定の場所以外では行わないこと。
⑤ 立入禁止又は通行禁止区域には立ち入らないこと。
⑥ 常に整理整頓に努め、通路、避難口又は消火設備のある所に物品を置かないこ
と。
⑦ 火災等非常災害の発生を発見したときは、直ちに臨機の措置をとり、    に
報告し、その指示に従うこと。

作成のポイント

会社は労働者が安全で健康に働くことができるように、職場環境の整備をすることが求められています。このことは労働安全衛生法で求められておりますが、特徴は会社だけが一方的に労働安全衛生法を守るのではなく、労働者にも労働災害を防止するための努力を求めている点です。
安全衛生面で労働者に特に求めることについて記載し、会社と労働者がともに労働者の安全な職場環境を作っていくことを明示しているのがこの条文です。

注意点

第3項については、各事業所の労働環境によって変える必要があります。その事業所で必要なものを選択して使用することもできますし、独自に文章を考えてもかまいません。必要に応じたルールを定めることが大切です。

第52条 退職金の支払方法及び支払時期

第52条 退職金は、支給事由の生じた日から  か月以内に、退職した労働者(死亡による退職の場合はその遺族)に対して支払う。

作成のポイント

退職金については絶対記載事項には該当しませんが、退職金の制度を定めた場合には就業規則に載せなければならない相対的記載事項に該当します。
退職金は賃金と同様に通貨払いが原則ではありますが、労働者の同意を得た場合には労働者が指定する口座に振り込むことが可能です。

注意点

退職の原因が死亡の場合には遺族に払われることになります。上記のモデル就業規則では受け取るための遺族の順位が載せられておりませんが、就業規則に受け取りの順位を載せて明確にするほうが望ましいといえます。

〈順位を決める場合の例)
従業員が死亡した場合における退職金は、労働基準法施行規則第42条から第45条に定める方法による。

1 退職金の支払方法、支払時期については、各企業が実情に応じて定めることになります。
労働者が死亡した場合の退職金の支払については、別段の定めがない場合には遺産相続人に支払うものと解されます。
2 労働者の同意がある場合には、本人が指定する銀行その他の金融機関の口座へ振込により支払うことができます。また、銀行その他の金融機関が支払保証した小切手、郵便為替等により支払うこともできます。
3 退職金制度を設けたときは、退職金の支払に充てるべき額について金融機関と保証契約を締結する等の方法により保全措置を講ずるよう努めなければなりません(賃金の支払の確保等に関する法律(昭和51年法律第34号)第5条)。ただし、中小企業退職金共済制度や特定退職金共済制度に加入している場合はその必要はありません。

第51条 退職金の額

(退職金の額)
第51条 退職金の額は、退職又は解雇の時の基本給の額に、勤続年数に応じて定めた下表の支給率を乗じた金額とする。

勤続年数 支給率
5年未満 1.0
5年~10年 3.0
10年~15年 5.0
15年~20年 7.0
20年~25年 10.0
25年~30年 15.0
35年~40年 20.0
40年~ 25.0

2 第9条により休職する期間については、会社の都合による場合を除き、前項の勤続年数に算入しない。

作成のポイント

退職金の支払額は労働基準法等で規定がありません。ですから事業所が実情に応じて決めることができます。基本給の○か月分という決め方が一般的ではありますが、○○万円と支給額を決めることも可能です。

注意点

退職者の功績や貢献の度合いによって支給額を決めることも可能です。ただし、使用者側の感情で決めることは就業規則に反するため、退職金を支払わない場合や減額する場合には就業規則の中で規定を載せる必要があります。

第50条 退職金の支給

第50条 勤続  年以上の労働者が退職し又は解雇されたときは、この章に定めるところにより退職金を支給する。ただし、自己都合による退職者で、勤続  年未満の者には退職金を支給しない。また、第61条第2項により懲戒解雇された者には、退職金の全部又は一部を支給しないことがある。
2 継続雇用制度の対象者については、定年時に退職金を支給することとし、その後の再雇用については退職金を支給しない。

作成のポイント

退職金については絶対記載事項ではないため、必ずしも就業規則に載せる必要はありません。しかし退職金の制度がある場合には適用される労働者の範囲、退職金の支給要件、額の計算及び支払の方法、支払の時期などを就業規則に記載しなければなりません。

注意点

  1. パートタイム労働者やアルバイトには支給しない旨を定めることがありますが、その場合にはどういう働き方をしている労働者がパートタイム労働者・アルバイトなのかを明確にすることが大切です。
  2. 退職金を支払うかどうかは事業主が決めることができるものです。労働基準法では退職金の支払い義務についての規程はありません。

第49条 解雇

第49条 労働者が次のいずれかに該当するときは、解雇することがある。
① 勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、労働者としての職責を果たし
得ないとき。
② 勤務成績又は業務能率が著しく不良で、向上の見込みがなく、他の職務にも転
換できない等就業に適さないとき。
③ 業務上の負傷又は疾病による療養の開始後3年を経過しても当該負傷又は疾病
が治らない場合であって、労働者が傷病補償年金を受けているとき又は受けることとなったとき(会社が打ち切り補償を支払ったときを含む。)。
④ 精神又は身体の障害により業務に耐えられないとき。
⑤ 試用期間における作業能率又は勤務態度が著しく不良で、労働者として不適格
であると認められたとき。
⑥ 第61条第2項に定める懲戒解雇事由に該当する事実が認められたとき。
⑦ 事業の運営上又は天災事変その他これに準ずるやむを得ない事由により、事業
の縮小又は部門の閉鎖等を行う必要が生じ、かつ他の職務への転換が困難なとき。
⑧ その他前各号に準ずるやむを得ない事由があったとき。
2 前項の規定により労働者を解雇する場合は、少なくとも30日前に予告をする。予告しないときは、平均賃金の30日分以上の手当を解雇予告手当として支払う。ただし、予告の日数については、解雇予告手当を支払った日数だけ短縮することができる。
3 前項の規定は、労働基準監督署長の認定を受けて労働者を第60条に定める懲戒解雇する場合又は次の各号のいずれかに該当する労働者を解雇する場合は適用しない。
①  日々雇い入れられる労働者(ただし、1か月を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)
②  2か月以内の期間を定めて使用する労働者(ただし、その期間を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)
③  試用期間中の労働者(ただし、14日を超えて引き続き使用されるに至った者を除く。)
4 第1項の規定による労働者の解雇に際して労働者から請求のあった場合は、解雇の理由を記載した証明書を交付する。

作成のポイント

  1. 解雇については就業規則を作成する場合に必ず記載しなければならない絶対的必要記載事項に該当します。これは労働者がどういうことをした場合に解雇されてしまうか明確にすることにより解雇の予見可能性を高めることができるからです。労働者は解雇される場合について予測できるようになれば、解雇事由に該当することを避けるでしょうし、解雇を行う事業所にとっても平等な扱いをすることができるようになります。
  2. 解雇については労働基準法ではなく労働契約法で解雇事由についての制限が設けられています。

    労働契約法第16条
    解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効とする。

    就業規則に記載がない場合であっても解雇をすることはできますが、過去の裁判例では就業規則に列挙していない事由により解雇を行った場合には解雇権の濫用と判断されるケースが多いため、就業規則を作成する場合には解雇に関する規定を載せ、解雇事由を列挙しましょう。

  3. 解雇を行う場合には少なくとも30日間に解雇予告を行う必要があります。しかし解雇予告手当を支払うことで即日解雇を行ったり予告期間を短縮することも可能です。
  4. 有期契約労働者を解雇する場合には、有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている労働者を解雇する場合には解雇予告が必要になります。しかしあらかじめ契約を更新しない旨が明示されている場合には解雇予告は必要ありません。

注意点

労働者から解雇の理由について求められた場合には解雇の理由を記載した証明書を交付しなければなりません。労働基準法では退職した労働者が求めた場合には使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由)について記載した証明書を交付しなければなりませんが、逆に求めていない内容については記載してはいけません。たとえば働いていた期間について証明を求められたにも関わらず、退職の理由について一緒に記載することは労働基準法に触れることになりますので注意してください。

関連条文

労働契約法第16条
労働基準法第19条
労働基準法第20条
有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準第1条

第48条 退職

(退職)
第48条 前条に定めるもののほか、労働者が次のいずれかに該当するときは、退職とする。 
① 退職を願い出て会社が承認したとき、又は退職願を提出して14日を経過した
とき
② 期間を定めて雇用されている場合、その期間を満了したとき
③ 第9条に定める休職期間が満了し、なお休職事由が消滅しないとき
④ 死亡したとき
2 労働者が退職し、又は解雇された場合、その請求に基づき、使用期間、業務の種類、地位、賃金又は退職の事由を記載した証明書を遅滞なく交付する。

作成のポイント

労働基準法には解雇を行う場合の通知の時期については規程がありますが、それ以外の労働契約の解除については規程がありません。
そのため労働契約の解除については民法の規定を使用することになります。
期間によって定めた報酬以外の報酬で働く労働者の場合(日給、時間給)
・・・解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了します。
期間によって定めた報酬で働く労働者の場合(月給)
・・・1か月の前半に退職の申し出を行った場合には、その期の末をもって終了します。1か月の後半に退職の申し出を行った場合には、翌期の末をもって終了します。

注意点

期間の定めのある契約の場合にはその期間が終了した場合に退職することになりますが、その契約が反復更新され実質的に期間の定めのない契約と変わらない場合や雇用の継続を期待することが合理的な場合には雇い止めが認められない事があります。その場合には30日前に予告が必要になります。

第47条 賞与

第46条 賞与は、原則として、下記の算定対象期間に在籍した労働者に対し、会社の業績等を勘案して下記の支給日に支給する。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由により、支給時期を延期し、又は支給しないことがある。

算定対象期間 支給日
  月  日から  月  日まで   月  日
  月  日から  月  日まで   月  日

2 前項の賞与の額は、会社の業績及び労働者の勤務成績などを考慮して各人ごとに決定する。

作成のポイント

賞与は就業規則の中で絶対的記載事項ではありません。しかし、賞与の支給がある場合には就業規則に定めなければなりません。
就業規則には支給対象時期、賞与の算定基準、査定期間、支払い方法等を明記しておくことが大切です。

注意点

6月1日に在籍した者や12月1日に在籍した者と一定の日を定めたり、賞与支給日に在籍した者と支給対象者の規定を設けることで、期間の途中で退職した者や賞与支給日に在籍しない者には支給しないこととすることができます。
支給しないことがあることや支払時期を延期することがあることを明記することで支払いができなかった事態に備えることができます。